小学生や中学生に勉強を教えておられる塾の先生は、数科目を担当されているはずです。また、その生徒もそれ以外の塾にはお世話になっていないでしょう(家庭教師はあるにしろ)。こうした、閉じられた学習環境の中で鍛錬された十代前半の生徒達が、希望する中学・高校なりに合格してゆくのが現実の姿です。
それに対して、高校生ともなると、それぞれの科目担当は一人の先生と限定されてきます。数学の先生が物理や化学もとはいかないのです。これは、高校の科目ともなれば、専門性が求められ、どんな優秀な先生でもあれもこれもとはいかなくなるということです。
生徒自身も中学の頃とは異なり、段々得意だった科目、例えば、数学などが嫌いになってゆくわけです。因みに、数学の≪753≫という言葉があるくらいですから。小学生では10人中7人が算数が好き、中学になると5人が好き、しかし、高校になると10人の中に数学が好きという生徒が3人にまで減ってしまう現実を鑑みれば納得がゆくことでしょう。
生徒と先生の科目の難しさに対する負担が“ねずみ算”的に増加してゆくのです。そこで、予備校、塾、そして、家庭教師の世話になるわけです。それも、科目によって生徒は、複数の予備校(塾)を使い分けているのが実態です。
ですから、或る大手予備校に数学だけお世話になった。家庭教師に化学だけ指導してもらった。はたまた学校の或る教科の先生に恵まれた。こうした要因が複合化して、希望の大学に合格したわけです。
公立の小学校や中学校から希望する中学や高校へ進学できた大きな要因は、学校の授業にはないとほぼ断言できるのが今の現実です。彼らは、日能研や臨海セミナーなどで実力・テクニックを身につけたと言えます。さらに、それが高校から大学進学ともなれば、そうした単純な図式では解決しないわけです。
つまり、一部では学校の或る科目の先生のお陰もあるし、家庭教師の先生に助けられたケースもあるでしょう。また、複数の予備校や塾を掛け持ちした要領の良さで栄冠を勝ち取った生徒もおられるでしょう。
こうした高校生の受験の光景は、例えば、大手予備校{駿台・河合・代ゼミ}の東大合格者の数を足してみれば分かります。入学者の2倍弱にはなるはずです。それに、その他の中堅予備校の実績をも加えれば、恐らく、3倍以上になるのではないかと思われます。こうした合格実績の実態は、東大だけには限りません。その他の早慶上智に関しても同様でしょう。
従って、本塾では、こうした受験生の掛け持ちを考慮すれば、英精塾の合格者などとは厚かましくて公言できないのが本音です。

それとZ会の合格実績に関しても一言申し添えておきます。よく、東大合格者の60%が、早稲田合格者の70%が、Z会出身者であると宣伝してはいますが、これなども、大きな盲点があるのです。
それは、これらの合格者たちは、何もZ会をやらなくても、東大や早稲田に合格できたであろう者たちが実力の余力をかって通信添削をしていたに過ぎません。Z会のハイレベルの問題など、実力がない、基礎ができていない者がやっても、分からないし、返却されてきた答案が赤ペンで直されていても納得できぬか、理解できないのが関の山です。
基礎も実力もない生徒が、その合格実績につられて「僕も、ひょっとして東大か早慶くらいは受かるかも」と淡い夢を抱かせるのが、まさにZ会だけでなく、教育産業の戦略なのです。こうした幻想を抱かせる罠にのってはいけません。着実に実力がつき、その科目に自信が湧いてきたら、その科目のみをZ会でやればいいのです。つまり、Z会で東大に合格した生徒の姿を分かりやすく説明すれば次のような事です。 小学生から、開成・麻布などに合格する生徒は、別に、サピックスだろうが、四谷大塚であろうが、恐らくどの進学塾でも合格できたであろう者たちです。
つまり、知能指数が比較的高い子供たちです。そうしたIQの高い子供に、どしどし難しい問題をチャレンジさせたり、高等知識を伝授することはたやすいことなのです。こうした生徒が、進学校の開成や麻布で、塾や予備校の合間を縫ってZ会をしているのが真の受験風景といったらよいでしょうか。Z会の会員と大手3大予備校の在籍者の生徒名簿を比較してみれば一目瞭然でしょう。最近は個人情報と称して生徒の名前を伏せているのもその実態を隠す目的もあるのです。
最後に、現役合格率なる受験産業用語に一家言しておきたいと思います。この現役合格率というものもいささかいかがわしさが漂う言葉でもあるのです。つまり、この現役合格率といっても、その生徒が複数の大学を受験して、第一志望は駄目、第二志望も駄目、そして、辛くも余り行きたくもない第三志望の大学に合格した場合でも、その生徒は“浪人”しなかったと換算されているのです。
≪どこでもいいから一つでも合格できた率≫と公言すればいいところを、現役合格率などとカッコイイ呼び名で宣伝するものですから、一般の受験生やその親御さんは引きつけられてしまうわけです。この現役合格率の実態を受験生はもっと把握する必要があるかと思います。この‘現役合格できた生徒’の中には、敢えて浪人した人達が実は多数いるはずです。
行きたくもない大学を生徒は敢えて受験料を払って受験するのであれば、そんな大学は受けるなと敢えてその予備校の関係者や学校の先生方は言いにくいという現実も確かにあろうとは思います。しかし、受験産業側、学校側からすれば、「うちの生徒は浪人しないのよ」と公言したくなる気持ちも分からぬまでもないが、受験する生徒側ではもっと“受験産業の出す数字”に対して真摯な眼を持ってくれればと思い、この現役合格率について一言ふれた次第です。
‘受験産業’に関しては、もっともっと言いたい事が山ほどあります。それは、また別の機会に本として出版したいと考えております。その折は、みなさんに報告します。









